御坂山・御坂黒岳の山歩き記 2015年5月17日(日)


  

御坂黒岳は11月と12月に2回登り、静寂な雰囲気の中に威風堂々と聳える富士山に感動した。しかし、11月、12月の富士山は北面に殆ど陽が当たらないという難点がある。今回、初夏の日差しが山体全面を照らす富士山を眺めるため、冠雪が充分に残っている5月を選んだ。

第一目的は黒岳展望台から富士山を眺めることですが、御坂山からの富士山も眺めるため、天下茶屋-御坂山-御坂峠-御坂黒岳-久保田一竹記念館のコースを歩く。御坂山山頂は展望がないが、御坂山と御坂峠間の間の鉄塔から富士山を眺めることができる。また、御坂黒岳-久保田一竹記念館間の1554mピーク付近にあまり知られていない富士山展望地がある。




■今回のコース

富士急行線河口湖駅(9:00)-天下茶屋-御坂山-御坂峠-御坂黒岳展望台-久保田一竹美術館バス-河口湖駅(16:29) 歩行時間4時間14分(休憩抜き)
河口湖駅から天下茶屋行きのバスは4−11月の季節運行です。
久保田一竹美術館-河口湖までのバスは殆ど外人乗客です。道が混雑していたため、思った以上時間がかかった。

登山コース
時間
小田急江ノ島線
長後駅

 5:38
河口湖駅
バス(750円)

9:00
天下茶屋
 1300m
9:39
9:53
清八分岐
 1450m
10:14

御坂山
 1596m
10:58
11:06
御坂峠
 1520m
11:42

御坂黒岳
 1793m
12:43

黒岳展望台
 1780m
12:45
13:49
黒岳1554ピーク 14:23
14:29
黒岳展望地B 14:26
15:40
天水(登山口)
 880m
15:37
久保田一竹美術館
バス停  850m
レトロバス(380円)
15:44
15:47
河口湖 16:29
 小田急江ノ島線
長後駅
19:45


御坂黒岳と富士山 (天上公園富士見展望台から)

御坂黒岳と富士山




御坂山・御坂黒岳の山歩き記   2015年5月17日(日)



■5:38 小田急江ノ島線長後駅出発。


■8:26 富士急行線三ツ峠〜寿間の富士山撮影ポイントの車窓から。う〜ん、雲が多い。



富士急行線三ツ峠〜寿間の車窓からの富士山




■8:53 富士急行線河口湖駅横の喫煙場所から。山頂付近の雲が殆どなくなりました。ウキウキ。



富士急行線河口湖駅横の喫煙場所からの富士山




■8:54 河口湖駅前の時計台。寡黙な少年です。温度18.5℃。



河口湖駅前の時計台




■9:00 天下茶屋行きのバス発車。満員。大半は三ツ峠登山口で降りて、終点までは20名ほど。








■9:39 天下茶屋到着。木の柱には「御坂峠 天下茶屋」。富士河口湖町が設置したb「御坂峠」の表示板はありません。トンネルは御坂隧道。5月の木々の緑が鮮やか。



御坂峠 天下茶屋




■9:42 天下茶屋前の道路からの富士山



天下茶屋前の道路からの富士山




■9:43 天下茶屋前の道路からの富士山。

富士山の景観としては、数少ない「菱形富士」として有名です。富士山の三角形と、山間にある河口湖の三角形が造る菱形です。この下側の三角形は「逆さ富士」、「隠し富士」とも言われます。




天下茶屋前の道路からの富士山





■9:43 天下茶屋前の道路からの富士山。この季節は、逆さ富士を造る山の緑が鮮やかです。気持ちも緑色に染まります。



天下茶屋前の道路からの富士山




秋、天下茶屋前の道路からの富士山  2014.11.16 9:58



天下茶屋前の道路からの富士山




太宰治が暮らした天下茶屋の二階からの富士山 2014.11.16 9:37

太宰治が天下茶屋で暮らしたのは、冠雪前の初秋から、10月−11月です。

太宰治が、「富嶽百景」で「まるで、風呂屋のペンキ画だ。芝居の書割だ。どうにも注文どおりの景色で、私は、恥ずかしくてならなかった。」と記述した季節の富士山です。

しかし、風呂屋の富士山の絵は、山頂が充分冠雪し、前景となる水面は広々と開放的になっており、周りの山は緑の絵が多い(たぶん1939年ころにも)。
太宰治がこの時見た富士山は山頂の冠雪もなく、水面も狭く、周りの緑も少ないため、それほど風呂場のペンキ画や芝居の書割の富士山ではない。そのため、これほど恥ずかしがる必要はありません。
太宰治の日本の美の象徴である富士山への反発心、対抗心が書かせた文章と思っています。
*書割:歌舞伎、芝居などで木製の枠に紙や布を張り、建物や風景などを描いて背景とするもの。



太宰治が暮らした天下茶屋の二階からの富士山 




■9:56 御坂隧道



御坂隧道




■9:56 御坂隧道表示板のところからの富士山



御坂隧道表示板のところからの富士山




■9:57 誰が設置したかわからない表示板「旧御坂峠70分」の方向を登ります。



「旧御坂峠70分」の方向を登ります




■9:58 坂の途中に太宰治の「富嶽百景」にでてくる「富士には、月見草がよく似合ふ」の石碑。
石碑はここにありますが。石碑の文章が出てくる場所は、川口湖村から天下茶屋の間です。太宰治はバスの中から富士山と反対側の路傍に咲く月見草を見て「富士には月見草がよく似合う」と書いてます。そのため、「富士には、月見草がよく似合ふ」の真意がよくわかりません。また、その後月見草の種を播いた場所は、茶店の背戸です。



坂の途中に太宰治の「富士には,月見草がよく似合ふ」の石碑




■9:58 石碑からの富士山。



石碑からの富士山




■10:06 シャクナゲ(石楠花)は1株のみ咲いていた。



石楠花



■10:18 尾根に上がったところの表示板。左が旧御坂峠、右が清八山。



尾根に上がったところの表示板




■10:18 御坂山に向けて新緑に囲まれた道を進みます。



新緑に囲まれた道




■10:26 樹木の間から富士山と河口湖が見えます。ここもなかなか良い富士山展望地です。



樹木の間から富士山と河口湖




■10:29 ミツバツツジが満開



ミツバツツジが満開




■10:39 新緑とミツバツツジに囲まれた道を進みます。気持ちの良い尾根道です。



新緑とミツバツツジに囲まれた道




■10:39 ミツバツツジ。三葉躑躅、枝先に三枚の葉がつくことからこの名がついてます。
ミツバツツジの雄しべは5本、トウゴクミツバツツジ(東国三葉躑躅)の雄しべは10本。写真の雄しべは5本以上あるようなので、トウゴクミツバツツジか。



ミツバツツジ




■10:45 時折、樹木の間から富士山



樹木の間から富士山




■10:55 道路の脇に白い花が落ちていた。ムシカリか。







■10:58 天下茶屋から一時間ほどで御坂山山頂(1596m)に到着。山頂は樹木に囲まれて展望がありません。気温17℃。



御坂山山頂




■10:58 御坂山山頂から富士山方向の御坂峠に向けて進みます。



御坂山山頂から富士山方向




■11:24 御坂山山頂から26分ほどで視界が開けてきました。送電線の後ろに富士山。



御坂山山頂から26分ほどからの富士山




■11:25 送電鉄塔があり、そこから富士山方向の視界が開けます。


送電鉄塔




■11:27 御坂山と御坂峠の間の送電鉄塔からの富士山と河口湖。御坂山周辺では最も富士山の展望が良いところです。河口湖の左の山は、天上山-霜山-三ツ峠山と続く府戸尾根、左の端の高いところが三ツ峠山の山頂らしいが、はっきりしない。


御坂山と旧御坂峠の間の送電鉄塔からの富士山と河口湖




■11:27 御坂山と御坂峠の間の送電鉄塔からの富士山と河口湖。壁紙用。








■11:27 御坂山と御坂峠の間の送電鉄塔からの富士山河口湖。


御坂山と旧御坂峠の間の送電鉄塔からの富士山と河口湖




■11:33 御坂峠に進む道端にフデリンドウ。この季節は「野の花眺めて山歩き」。

フデリンドウ(筆竜胆、学名:Gentiana zollingeri )は、リンドウ科リンドウ属に分類される越年草の1種。
高さは5〜10cmくらいになる。葉は対生し、形は広卵形で全縁、質はやや厚め。 ハルリンドウにはある根生葉はない。花期は4〜5月で、漏斗状の青紫色の花を、茎の上部に1〜10数個、上向きにつける。花は日があたっている時だけ開き、曇天、雨天時は、筆先の形をした蕾状態になって閉じている。(フデリンドウ - Wikipedia


リンドウは秋の花といわれるが、フデリンドウは春に咲くリンドウ。




フデリンドウ



花の閉じた状態が、筆の穂先に似ているのが名前の由来。









■11:40 シロバナヘビイチゴ  御坂峠周辺に多く咲いていました。

白花蛇苺、この変わった名前の語源は、@実が食用にならずヘビが食べるイチゴ Aヘビがいそうな所に生育する Bイチゴを食べに来る小動物をヘビが狙う、など諸説あります。


シロバナヘビイチゴ




■11:42 御坂峠到着。今は使われていない御坂茶屋。



旧御坂峠




■11:42 この峠の表示板は「御坂峠」。しかし、現在ここを「旧御坂峠」と表示し、これまで「天下茶屋」と書いてきたところを、「御坂峠」と表示するサイトが多い。
 御坂峠の表示についてはこちらをご覧ください→「御坂峠はどこにある



この峠の表示板




■11:51 ツクバキンモンソウ

ツクバキンモンソウ(筑波金紋草)は、ニシキゴロモを分類上の基本種とする変種。花冠は淡紅色、花冠筒部は長く8-10mmになり、上唇の長さは1mmと発達せず、半円形となり分裂しない。本州(岩手県南部以南の太平洋側)、四国、九州(大分県東部)に分布し、山地に生育する。(ニシキゴロモ - Wikipedia



ツクバキンモンソウ




■12:15 御坂黒岳に進む道の左側を眺めると、樹木の後ろに富士山がいます。



樹木の後ろに富士山




■12:24 時々樹木の間から富士山が顔を出します。富士山を眺めると、足に力が湧いてきます。



樹木の間から富士山




■12:42 「黒岳自然保存地区」の表示板。「御坂山塊の主峰である黒岳の北東斜面には、樹齢150年にも及ぶブナ林が広がっています。ブナは温帯林での極相で、林床にはブナ特有のササを欠き、ヤマトリカブト、マイズルソウなどが繁茂しています。・・・」



「黒岳自然保存地区」の表示板




■12:43 「黒岳」と「釈迦ヶ岳」の分岐。黒岳山頂付近の表示板なのでここから「釈迦ヶ岳」へ行けますという表示板。



「黒岳」と「釈迦ヶ岳」の分岐




■12:43 御坂黒岳山頂。樹木に囲まれており、展望はありません。
手前に「←展望台」の表示板。左手奥には「←日向坂峠(どんべい峠) 新道峠→」の表示板。その後ろに「富士山・河口湖が一望できる場所あり ←200m」という親切な表示板。


御坂黒岳山頂




■12:48 御坂黒岳の富士山展望台からの富士山と河口湖。富士山の右奥に南アルプスが見えます。



御坂黒岳の富士山展望台からの富士山と河口湖




■12:48 御坂黒岳の富士山展望台からの富士山と河口湖。太陽の位置が高いため、富士山山腹全体に陽が当たります。雲が踊っており、初夏の雰囲気で、明るく躍動的な富士山です。絶景です。



御坂黒岳の富士山展望台からの富士山と河口湖




■12:49 御坂黒岳の富士山展望台からの富士山。小御岳がほぼ中央にあり、グイと中腹部を盛り上げています。



御坂黒岳の富士山展望台からの富士山




■12:49 冠雪が少なく岩肌が露出してきりっと締まった山頂部です。



御坂黒岳の富士山展望台からの富士山山頂部








 ランチタイム(12:50-13:41 




展望台上部の狭い広場の日陰で、富士山を眺めながらおにぎりを食べる。

富士山をおかずにおにぎりを食べるぜいたくな昼飯です。


展望台上部の狭い広場




黒岳の読み方


「黒岳」は「くろたけ」か「くろだけ」か


「黒岳」の読み方について下表にまとめました。

御坂山地にある表示板では、「黒岳」は「くろたけ」、「くろだけ」、「読み方無し」と 統一されていない。又その設置元もはっきりしない。

そこで、国土地理院に 「地名,行政名や居住地名は,各市町村で決めています.」(2 国土の情報に関するQ&A | 国土地理院 )という記載が有るので、「御坂黒岳」が所属する笛吹市と富士河口湖町の読み方を参照した。

笛吹市のHPでは「黒岳(くろだけ)」です。富士河口湖町のHPでは「黒岳(読み方無し)」です。

そのため、このサイトでは黒岳(くろだけ)」と記載してます。




表 「黒岳」の読み方

  @くろたけ  Aくろだけ 
表示板   御坂山山頂の表示板:
「黒岳」は「KUROTAKE-くろたけ」。
作成元不明。












新道峠の表示板:
「黒岳」は「Mr.Kurodake くろだけ」。
作成元は山梨県か笛吹市か。


 
登山本  ・ 現時点で見つけていない。  

富士を眺める山歩き
山村正光著 毎日新聞社 2001年刊



・やまなしの富士 上野巌 山梨日日新聞社
  2006年刊  御坂山、黒岳のページ


・富士山の見える山ベストコ−ス45 
佐古清隆著 山と渓谷社  2011年刊 


 ネット ・日本の主な山岳一覧 | 国土地理院 (gsi.go.jp)


・黒岳 (御坂山地) - Wikipedia
*国土地理院に基づく。

・黒岳|最新の山行記録-ヤマレコ
  Wikipediaが出典



何故国土地理院が「黒岳 くろたけ」にしたか不明







・5.pdf (city.fuefuki.yamanashi.jp)

笛吹市のHP内にある

・笛吹市・芦川町の自然 - 黒岳 | ふえふき観光ナビ

・御坂黒岳/ 山梨県公式観光情報

山梨百名山hyakumeizan-04.pdf (yamanashi-kankou.jp)

・黒岳/ ヤマップ

・黒岳 (くろだけ):1,792m - 山と溪谷オンライン

読み方なしの表示板、地図、登山本、ネットのサイト

・御坂黒岳の山頂部の表示板には読み方無し

 


山と高原地図31 富士山 御坂・愛鷹 2013年
何故か「黒岳」に読み方がない

・河口湖町HPには「黒岳」の読み方は無し
御坂山塊ハイキングコース|富士河口湖町観光情報サイト (fujisan.ne.jp)



日本山岳志 - 国立国会図書館デジタルコレクション (ndl.go.jp)316/718
1906年 明治39年「日本山嶽志」高頭頭式著 
御坂山塊の山の中に黒岳は無し。この時点では登山する山ではなかったか。

・一日二日山の旅 - 国立国会図書館デジタルコレクション (ndl.go.jp)182/213
大正12 河田髓
「黒岳」はあるが読み方無し。この時点では展望台はなかったか。











■13:46 展望台の岩場が突き出ています。枝が刈られており、ここから富士山を撮影しました。



展望台の岩場




■13:49 今回は新道峠には行かないので、展望台から山頂に戻らないで久保田一竹記念館のほうに下ります。この黒岳展望台は御坂黒岳山頂から久保田一竹記念館への下山道の途中にあることになります。黒岳山頂から久保田一竹記念館野のバス停まで標高差943mの下山です。







■13:52 少し行くと、富士山展望地がありました。黒岳展望台に比べ最前列の枝葉が異なりますが、富士山と河口湖の景観はとほぼ同じです。南アルプスは枝の後ろに隠れます。



富士山展望地からの富士山




■13:57 富士山展望地から。黒岳展望台とは雲の状況が異なっています。



富士山展望地からの富士山




■13:58 富士山展望地から、河口湖大橋がすべて見えています。



富士山展望地からの富士山




■14:10 綱が張ってあるかなりの急坂を下ります。



かなりの急坂




■14:12 更に急坂を下ります。



かなりの急坂




■14:26 1554mピークに富士山展望地がありました。地図に展望地と記載したところです。この展望地があるという情報がなかったので、突然現れたときには喜びました。展望台1780mより、230mほど低いところから眺める富士山と河口湖です。黒岳展望台では見えなかった、杓子山、御正体山の山並みが見えます。



1554ピークの富士山展望地からの富士山と河口湖




■14:26 1554mピークの富士山展望地から。左の天上山が富士山に向かってせり出している感じです。



1554ピークの富士山展望地からの富士山と河口湖




■14:26 1554mピークの富士山展望地からの富士山



1554ピークの富士山展望地からの富士山と河口湖




■14:32 新緑とミツバツツジに囲まれた道を下ります



新緑とミツバツツジに囲まれた道




■14:41 樹木の間から富士山が見えます



樹木の間から富士山




■14:55 とても急な道を下ります。



とても急な道




■15:04 急な下り道が続きます。さすがに、急坂がこれほど長く続くと辟易します。このコースは登りたくないと思ってしまう。



とても急な道




■15:21 しかし、新緑とヤマツツジが美しい。展望地Aからの富士山とこの眺めを楽しむためには、下りならこのコースはいいか、と思ってしまう。急坂を歩く間、気持ちはコロコロ変わっていきます。



新緑とミツバツツジ




■15:31 新緑が美しい



新緑が美しい




■15:36 「至 広瀬」の表示板。下り道の多くの場所に出てきます。久保田一竹記念館があるところの地名が「広瀬」のようです。


「至 広瀬」の表示板




■15:41 舗装道路に出ました。



舗装道路




■15:41 左が久保田一竹美術館。久保田一竹は、独自の技法による染色芸術「一竹辻が花」を完成しました。一竹のライフワーク「光響」の連作をはじめ、富士をテーマにした作品群が展示されています。バス停はこの先です。



左が久保田一竹美術館




■15:47 久保田一竹美術館からレトロバスで河口湖へ。







■16:29 河口湖駅到着。順調に進むと25分ほどで着くのですが、道が混雑しており、乗客が外人が多いためその対応に時間がかかり、42分かかりました。休日の河口湖のバスは時間通りに走りません。以前、本栖湖近くで、2時間遅れのバスに乗ったこともあります。


■19:45 小田急線長後駅着。


END











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